2019SS海賊コレクションの台風の目”海戦柄”が完成するまで

2016年までは不定期リリースのインディーズブランドだったHEADGOONIEが
2017S/Sから展示会形式のドメスティックブランドとなり早2年。
展示会でいうと今回のPIRATECHOICEが5回目になります。

うちみたいなのがオリジナルシーズンテーマを掲げてある程度の型数を揃えるって結構な賭けでして、これが箸にも棒にもってなことになるともう八方塞がりだったのですが、
展示会を終えて今のところ、WEBSHOP含めいつも以上にご予約を頂いていて、とりあえずはホっとしているところです。(各地常連さんたちもいつも足を運んでくれてサポートいただき本当にありがとうございます!)

何年か前、これを見て、

英国サンダースのショーウィンドウにかかっていた、ウェンブレクスの50sヴィンテージ生地を使ったアロハシャツ。
ウェンブレクスはアナーキーシャツのベースになったことで有名な英国老舗メーカー。

僕はこのスタンダードなアロハ柄にビビビっときた。
これなんで買っておかなかったのか…今でも後悔。

こういう、それこそ所さんが集めてそうなアロハって、50年経とうが100年経とうが、その価値が変わらなく存在しています。きっとその先100年経とうが200年経とうが、
価値が下がることは永遠にない。

機関車アロハやチャンクとか、映画パロディに愛を込めて手捺染するのもいいですが、
いつかいつか僕も、そういう100年以上遺せるようなオリジナル図案のアロハができたらとずっと夢想していました。

宝物を巡る秘密を仕込んだトレジャーハンターデニムシリーズで少しずつその全貌を語っている
”ある無人島”の存在。その島は実在します。

東京グーニーズの秘密の島については、時が来たら改めて詳しく話すとして、
多分ですがまずはこの人が言い出したことだと思います。

僕が小1〜2年の頃、朝7:30からやっていて、全部観てると100%遅刻するんですが、僕の両親はこっちを優先してくれました。
僕と同年代ならあれですけど若い方々観たことない方は、
NETFLIXでは終わっちゃった?プライムで観れるのでぜひ観てください。
小さなお子さんがいる方はその子が8歳になる前までに観せてあげることができたらベストです。

海賊になるとか、家出して無人島に海賊の根城をつくるとか、洞窟に海賊の宝とか、ツリーハウスとかセントピーターズバーグの景色とか、そういうのを7〜8歳で入れられて、
まず僕の中の”海賊土台”が出来上がる。

そのあとすぐに追い打ちをかけるのがやっぱり『グーニーズ』で、
その後の色々ありましたよね、プロジェクトAの海賊とか、ドーラ一家とか。
そして僕はすっかり海賊フェチになってしまい、
将来は海賊になって無人島に仲間と一緒に根城をつくり、
自給自足生活で陽気に楽しくツリーハウスで暮らすのだと、今でも本気で思っています。

もし、もしも、いつかオリジナルのアロハ図案が出来る日が来たら、
この僕の”将来の夢”である海賊の海を表現したい。

でもそれが具体的にできなかった大きな理由として、まずは予算というのがもちろんありますが、それ以前にこんな大掛かりな図案を描いてくれる人がいなかった。

僕の脳内にあるこの海賊図を、一見遠目で見たらヴィンテージアロハのようだけど、
近くで見ると海賊!っていう主線のないアロハ用絵画を僕が納得するレベルで仕上げてくれるとしたら、それが出来るのは、
僕の知り得る限りだと、マツオカヒロミさん(機関車アロハやチャンクアロハの図案を描いたデザイナー)しかいませんでした。ヒロミさんならきっと僕の想像を超えるものにしてくれるはず。

…しかし、毎晩深夜にタク送で帰りまた朝イチで出社し、土日は子供の世話をしているという一体いつ寝ているんだレベルの売れっ子デザイナーに、こんな壮大な構図を、、とても言い出すことができないまま、数年が経ちました。

そして昨年、マイキーズアティックのシンタローにある彫り師さんを紹介してもらいました。
絵を見せてもらうと、タトゥーの絵から普通のイラストまで幅広く変幻自在で線もキレイですごいレベル。
でも、それだけじゃ食えなくて他に仕事を探している感じ。
まさに適任。すぐに頭の片隅で数年間眠っていた”あの図案”のことを思い出しました。
手八丁口八丁で何とか口説き落とし、何と、この壮大な図案をお願いできることになったのです。

まず自分でも一度整理する意味で、まずは僕が脳内から海賊図を出すことからはじめました。

海が塗り終わってないのは、インクが切れたか力尽きたか。

A3を4〜5枚くらいつなぎ合わせた原寸に近い大きさで描くことにより、
自分でもアロハになった時の原寸バランスを確認する。

つまりこれですね。僕の将来の夢。


マーケットは、カリブの海賊の中盤くらいのとことか、ドラクエのあの感じをイメージしつつ。
屋根にうしくんが寝てる。

幽霊船、近海の主、人魚島、海賊黒ひげ vs 英国海軍etc… 僕の大好きな”海賊あるある”を全部詰め込みました。

”ある島”のビーチに宝を埋める海賊。

このワンシーンを切り取ったのが今季のメインポスターになったこれ

”ある海賊の物語”はここから始まります。

僕が描いたこの設計図を、彫り師さんに渡し、
まずはワンシーンだけを切り取り、タッチを決める。

何度も話し合った結果、特に初稿からのアレンジ無しで、ほぼ僕のラフ画のままのタッチで行くことに決定。
着る人それぞれが物語を膨らませていくことができるよう、人物は全てのっぺらぼうに。

そして色付け。

主線をなくし、色のみで表現。海と波が全ての”海賊あるある”をつなぎ、1枚のアロハシャツのパターンとしての流れを創る。

とりあえず、これでタッチと配色バランスが決定。
続いて各部位の下書きに。



こういうのって、描いてるうちに乗ってくるから、
あの、乗ってきたら僕のラフは無視して、好きにアレンジ加えちゃっていいですからね。
って言ったにも関わらず察してくれて、ほぼ90%以上は僕のラフ通り律儀にやってくれました。

全体構図本番。これもほぼ僕のラフ通り。
配置が終わったら海を塗ってから、いよいよ本番色付け。


完成!
仕事終わった深夜から毎晩やってもらって約1ヶ月半。。お疲れ様でした。あなたのおかげで、僕の夢が叶いそうです。本当にありがとうございます。

厳密に色を調合している時間がなかったから、原色っぽい仕上がりになってしまったので、
そこはアレンジしといて、
とのことだったので、ここからは再度僕の仕事。

多色使われている原画から色を、とりあえずざっくり分解する。最低限かつ最高峰を念頭に、悩みましたが最終的に12色に分ける。

分解した12色を、カラーチップで特定していく。
最近はDICのアプリもあるけど、僕はああいうのピンとこなくていまだにアナログ作業。

原画のままの色では、子供服になってしまう。
これはあくまで大人も着れるアロハでなくてはならないので、例えば10番赤は真紅ではなく、バーガンディくらいに落としたり、9番砂浜の黄色は淡いクリームに、そしてやっぱりメインの海は真っ青ではなく、落ち着いた深いブルーに設定。
こんなもん、悩むに決まってる。なんやかんや保留しつつも数日かかってしまった。

出来上がったカラーチップを同封で、原画を京都に送って待つこと数日。
染工場から返答が。

僕のチップズバリの色と、染工場担当さんの提案色などなどなど。これを見て、さらに悩む。

この後もさらにいろんな工程があるんですが、キリがなくなってきそうなので多少割愛。

京都に移り、製版後、いよいよ本番プリント。

これが1版。バカデカ。

日本古来から受け継がれる伝統技術・京都の手捺染。発祥地について諸説あれど、いわば原理はシルクスクリーンと同じ。
先ほどのカラーチップ通り、このバカデカサイズx12枚のスクリーンを製版し、捺染がスタート。

これで3色。まだまだ先は長い。

海が入るとグっと締まります。


片道25m、往復50m、1刷り1刷り慎重に刷っていきます。


デカイけどやることは一緒。
インクを戻すのも、版を洗うのも一苦労。

最後の1色を入れて、ついに完成。


出来上がった生地が、用賀に届く。

感無量です。僕は今季PIRATECHOICE、これを具現化することが出来たことが何よりも本当に嬉しい。

海の色を落としたことや木々の色・赤・砂浜イエロー他、本番前に何度も何度もカラーチップで試行錯誤した甲斐があり、遠目で見ると一見普通のアロハだけど近くで見たらえ!?海賊なのこれ!?っていう僕の目指したちょうどいい塩梅に着地成功。

長くなりましたが、この海戦柄が出来上がるまでの道のりをご紹介しました。
この道のりを知っておくと着るのがさらに楽しくなると思います。

こちらも追ってご予約開始します。ご期待ください。
入手しておくと、100年後、あなたの家系のお宝になる(はず)です。

この柄合わせがかなりイカれていることや、ココナッツボタンについてなどはまた追ってお話しします。長々読んでいただきありがとうございました。

HEADGOONIE
大八木未来

https://headgoonie.com/