データコート考察2018年版。その2

1985 ADEVNTURE ARMY COAT
https://headgoonie.com/items/5a91342727d1cc1ad1003a43

『グーニーズ』データのアーミーコート、33年の時を経て、ついに現代に復活しました。

先日アップした、ローラ・ダッシュの存在とワッペン9種バージョンアップの件
http://headgooniebookstore.jp/blog/datacoat_2018/

とは別に、このコートに初めて出会う方のために、過去の考察を修正・加筆して
掲載します。
以下、長いですが、興味ある方はヒマなときにでもよかったら読んでみてください。

前にブログにも書きましたが、男の子ってまず”メカニック”に憧れるんです。
もちろんマイキーにもなりたいんですが、はじめてグーニーズを観たときは、まず僕ら80sKIDSは
データに死ぬほど憧れました。
冒頭のバックルからビョーンって飛び出るやつから、網戸をやぶって入ってくる007、
びっくりライトに”すってんころりん”などなど、コートの中から次々飛び出すドラえもんのような、
キテレツ大百科のようなワクワクアイテムたちに当時7〜8歳だった僕の心は鷲掴みにされてしまいました。

「仮面ライダーがプリントされたクツをはくことは、仮面ライダーから一番遠ざかることになる」
とは、
仮面ライダーはブーツをはいているわけで、自分がプリントされているクツなんてはいてない。
仮面ライダーになりたいのにそのクツをはくことによって仮面ライダーから一番遠ざかることになる。
という、松本人志さんがよく言っている名言。僕も本当にそう思います。

デロリアンがプリントされたTシャツを着ることは、大好きなBTTFから一番遠ざかることになる。
BTTFが大好きで、それをストリートファッションで表現したいけど、オフィシャルモノはダサくて着れない。だったら自分でつくるしかない。
僕がHEADGOONIE(の前身ブランドEmmettBrown)をはじめたとき、まさにそんな気持ちでした。

時は2001年。
まずはTシャツからはじめて資金を稼ぎ、お金が貯まったらそのうちマーティーが着てたデニムジャケットをつくりたい。
あのオレンジのダウンベストもつくりたい。マイキーのジージャンもいいしドクの機関車柄アロハも古い資料やVHS映像からでもある程度は解析できるだろう、と、
このあたりまではブルーレイ誕生前夜の21世紀初頭でもある程度想定できていました。

が、データコートだけは、絶対に無理だろうと思ってました。
だってグーニーズってBTTFと比べて印刷物的資料が圧倒的に少なく、ちゃんとデータが載っている本がほとんど存在しない。それにワッペン1個1個がどんな柄か?なんてとてもじゃないけど映像からは解析できない。
(2001年てもうDVDありましたっけ?まだVHSから解析していたような、、)

これは僕が”こんなもの”をつくっていると知った父親から送られてきた画像。

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1988年、僕が10歳のときに描いた絵。
もうこのときすでにデータに夢中だったらしい。

そんな夢のコート、”ひょっとしたら”と思えたのは、やっぱりブルーレイの出現でした。

せいぜい襟のOREGONや肩の星条旗程度しか見えなかったワッペンたちが、
なんとなく、いや結構見えるんです。
(当時自宅にブルーレイ内臓TVを買ったのも、これを観るためでした)

データのコートが”見える”のは、冒頭のバックルからビョーンと飛び出すシーン、
マイキーの家に網戸を破って入ってきて居間にしばらく居るシーン、
屋根裏部屋のシーンとトロイの親父が訪ねてきたシーン、
そして海岸からのレストラン。

このあと地下に潜ってからは暗くってほとんど見えない。
「願い事の井戸」とウィリーの部屋で少し見えるものの、
洞窟を出たラストシーンはコートを脱いでしまうので、解析に使えるのは冒頭から
前述したあたりまで。

死ぬほど一時停止して解析するんですが、全27種のうち映像から観て取れるのは
せいぜい10種程度。これ以上はブルーレイをもってしても解析不可能でした。

やっぱり無理か、、
さらに10年20年後、ブルーレイを超える何かが誕生するまで具現化は無理か、と
一時は諦めたのですが、、

ある日、海外サイトでこんな画像を発見。

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コートを着た、大人になったデータ!
(キー・ホイ・クアン改めジョナサン・キー氏。現在は『X-MEN』等で武術指導として活躍中)

この画像は、某国で開かれた、いわゆるハリウッドコレクターズコンベンション的な
ファンイベントにジョナサン・キー氏が招かれたときのものでした。

このコートは、ジョナサンが用意したものではなく、某ファンがこの日のために
つくって当日持参したものでした。

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ファンミーティング中におそらく、「キーさん、自分これつくったんすよ、ちょっと着てくださいよ〜」的に
言われてしぶしぶ着たっぽい。

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最近のデジカメで撮った写真がそのままアップされていたため、かなり鮮明に細部を見ることができた。
このピーマンみたいのもしっかり見える。

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映像では解析不可能な”トラ”のデティールやDr.NORTON MOTOR CORP.の文字を確認できます。

っていうか、このコートを持参した人はどうやってつくったのか?
この人、映像やらなんやらでワッペンのディテールを解析し、イーベイや雑貨屋さんなどでコツコツと既製品のワッペンを買い集めてつくったらしい。
なんという素晴らしい根気でしょうか。

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しかし、残念ながらこのコートは完璧ではないんです。

まず、”トラ”の下のREDSのワッペンがない。袖を見ても、Dr.NORTONの下にいる赤っぽいワッペンもない。
一番簡単な左肩の星条旗も、例の大きめのプリントワッペンもない。
全27種類中、このコートにはワッペンがあと5種類~6種類不足しているんです。
この方ももちろん足りないことはわかっていることでしょうけど、イーベイでまだ発見できていないのでしょう。
ブルーレイ映像をもってしても10数種類しか解析できなかったところから、この人のおかげで大きく飛躍することができました。

それに、このコートを具現化しようなんてアホなことしてるのって僕だけじゃないんだってことがわかりました。
世界は広い。
海外のグーニーズファンサイトでファン同士のチャットに混じってみて、「あのコートの、この部分のワッペンってどうなってるかわかる?」と聞いてみると、
「フロント襟部分のはアポロのものだよ」とか「袖のREDLINEはBMXメーカーのものだ」とか、
新たなことがたくさんわかりました。
外国人にはきっと、Dr.NORTON MOTORCYCLEやREDLINEなどに”馴染み”があるのでしょう。
たとえば、僕ら日本人はいくら画像が悪くても鬼太郎やドラえもんを見間違えないように、彼らにとっては多少荒くても馴染みあるロゴやデザインなので認識できてしまうのでしょう。

それでGoogleで「REDLINE BMX ロゴ」とかで検索すると、ズバリのものを発見。
もう一度映像と見比べて間違いないか確認する。
これを延々繰り返すことによって、全27種中、15〜16種類あたりまで解析することができた。
しかしそれにしても、特殊なものは一切ついてなくて、BMXメーカーだったり球団、軍モノなどなど、当時その辺で売ってそうな既成のものがほとんどです。

この海外ファンとのやりとりを延々、、1年近く繰り返したことにより、
全27種中ほとんどのワッペンを解析することができました。
しかし、まだどうしてもわからないのがいくつかある、、

僕がこの通称データコートを具現化するにあたり調べた結果、
世界広しといえど具現化され現存しているのは、今紹介したファンミーティングでファンがつくったものと、博物館に展示されているこの2着。少なくとも2011年の時点ではこの2着しか存在していなかったと思います。

あとちょっとなのに、、これ以上は解析不可能か。。と思われたのですが、
ある日、HEADGOONIEの常連のお客様から、

「某古着屋で60年代の軍モノ?サテンベストを見つけたのですが、
これってデータの袖についている「虫」のワッペンのものではないでしょうか?」

というメールが届き、すぐに通販でそのベストを確保。

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ずいぶんイカれたデザインですが。。
どうやら60s軍モノらしい。

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映像からはせいぜいここまでが限界だった謎の虫ワッペンの正体が明らかになりました。

そして、一番難易度が高かったのが、これ。
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左袖のヒジあたりについている、このコートで一番大型のワッペン。
大型なわりにディテールが細かくて、映像からはどうしても見ることができない。

なんとかギリギリ「WEINBERG」という文字が読めることから、
再度海外チャットで相談してみると、
” weinberg Crest “じゃないか? という意見が多数。
正式には”weinberg Family Crest “。Crestとは”紋章”。
Weinbergとは、ユダヤ人の姓名。つまり、ユダヤ人教会などが使う紋章に似ている、と。

Google検索したり、図書館で紋章の本を見てみると、確かにWEINBERG CRESTの1種であることには間違いなさそうなのですが、エンブレム内部のディテールまではどうしても読み取れず、
ズバリのものを発見するには至りませんでした。

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なので、2011年に一度具現化した時点では、あくまで”予想”で、映像から見てとれる範疇で
うちでデザインしたWEINBERG CRESTのものをつけました。

しかし、
時は流れ2015年。
ニューヨークであらたにデータコートを具現化しているという人物と、
知人を介して知り合うことができました。

彼がつくったデータコートが、これ。
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冒頭で紹介したファンミーティングの人と同じく米軍アーミーコートをベースに、
探し集めたワッペンをコツコツと積み重ねてつくったものらしい。

オレゴンの書体がちょっと違うかな?っていう程度で、あとはほぼ完璧。すごい。

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そして昨年のコミコンにゲストで招かれていたジョナサン・キー氏にサインをもらったとのこと。

このとき、彼は実際にジョナサンに「あの左ヒジのワッペンはなんだったんですか?」と聞いたら、ジョナサンは、
「プリントワッペンではなく刺繍でつくられたものであり、エンブレム内には燭台、大砲、兵士、十字架のディテールであった」と答えたそう。

果たしてその証言が本当なのか、ジョナサン・キー氏の記憶は確かなのか、さだかではありませんが、2015年にリプロダクトしたセカンドモデルでは、この証言に忠実に再現しました。

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プリントワッペンだったファーストから刺繍ワッペンに変更。
さらなる画像解析から、色やディテールを修正し、デザインをリプロダクト。

デザインに関してはこれ以上は映像から解析は不可能だし、もうこれ以上やるつもりもなかったんですが、、

映像を見返すと、やっぱりこれどっからどー見ても、刺繍じゃない。絶対プリントワッペンだと思う。
幼少期に撮影した映画ですから、ジョナサン・キー氏だって記憶違いがあるはず。
どうしても納得がいかず、二転三転であれですが、ここはもう一度、プリントワッペンに戻しました。

ニューヨークのコレクターがジョナサン氏に聞いた証言から解析したセカンドのデザインで、
もう一度プリントワッペンにリプロダクト。
全27種の中で唯一100点が出せないのですが、僕はこれで85〜90点は出せると思っています。

2015年にセカンドモデルを発売した、半年後。
フランスの80sムービープロップコレクターとして有名なジョーダンから連絡があり、
「5月にポートランドコミコンでジョナサン・キー氏に会う。その時データコートを
着ていきたいんだが、まだストックはあるか?」とのこと。

しかし時すで遅しでもう在庫がありませんでした。
前述したように、各国コレクターが自作したデータコートをコミコンに持参し、ジョナサン氏にサインをもらう機会はありましたが、HEADGOONIE製作のデータコートがご本人と接触したことはまだない。こんなチャンスは逃せない。
なのでしぶしぶ僕の私物データコート(セカンドモデル)をジョーダンに譲ることにし、フランスに送りました。

その数日後、忘れもしない2016年5月1日の早朝、ジョーダンからこの画像が届きました。

僕がつくったデータコート、ついにご本人と接触!
10歳の僕にこのことを伝えたら発狂するでしょう。

そしてこのとき、ジョーダンはジョナサン氏から貴重な証言を入手。
「あのコートは撮影用に数着つくられていて、ベースは軍モノの古着だったため、すべて微妙に色が違った」

前半のマイキーの家ではめっちゃミドリなのに、後半洞窟の中ではグレーっぽくなるのはそういうことだったのか。

ジョナサン氏が実際に着ていたのは2着だったそう。(あんな泥だらけになる映画、もっと着数準備するような気もしますが)
”数着あった”というのは、おそらくローラ・ダッシュの分も含めてそう答えたのではと予想します。そうすると、本物のデータコートは少なくとも(ローラのも含め)この世に3着は存在するはず。

1着は、ジョナサン氏が記念に持ち帰り、今でも自宅で大切に保管しているそうです。
もう1着はローラダッシュのコートとしてオークションに登場したものだとしても、
もう1着が行方不明ですね。一体今どこにあるのでしょう。

ジョナサン氏は、HEADGOONIEのデータコートを見て、
「これは僕の所有している方ではない、もう1着の方に色が似ているね」
と言っていたそう。

いやー、それだけでも聞ければ感無量。十分です。

だって僕がつくったデータコートには、データ本人のサインが入ってるんですから。
本人までたどり着いただけでも、やった甲斐がありました。

長くなりましたのでこの辺で。続きます。
改めてサードモデルのディテールについて書きます。

・・・TO BE CONTINUED→

HEADGOONIE
大八木未来

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