1985 ADVENTURE MILITARY JACKET / CHAPTER ONE「冒険ジャケットを巡るいくつかの証言とその証拠」

1985 ADVENTURE MILITARY JACKET

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僕がこのジャケットの存在を知ったのは、今から遡ること17年前。

VHSの時代が終わり、DVDなるものが登場したときのことでした。
Blue-ray誕生前夜、こんなにキレイな映像で映画が観れるのか! と驚いたのを今でも憶えています。

2001年11月2日。
『グーニーズ』のDVDが発売され、特典映像として収録されていたメイキング映像で、
このスタッフ用ジャケットにはじめて出会いました。

ブランド名の由来となった”HEADGOONIE”がプリントされたCAPも、この特典映像で登場します(1秒くらいですが)。

特典映像のラストで、とてもステキなコメントをしているリチャード・ドナー監督。
監督がそのとき着ていたのが、ムネにGOONIESのパッチをつけたミリタリージャケットでした。

よーく見ると、カメラマンやスタッフも数人同じようなのを着ている。これはスタッフだけに配られた撮影クルー用ジャケットなんだということはすぐに想像がつきました。
一般販売されていない、スタッフだけに配られたモノって、男の子にはグっときてしまうんです。
いつか、いつか時期が来たら、これをモチーフにしたジャケットをつくりたいな〜と妄想しつつ、時は流れました。

確か、、2〜3年前だったと思います。
Facebookに、『グーニーズ』の撮影に同行していたというカメラマンが現れ、見たことないバックステージ写真をバンバンアップしはじめました。撮影中の舞台裏だけではなく、マウイで開かれた伝説の打ち上げパーティー”GOONIES in HAWAIIAN”の初見の写真までアップされるもんだから僕にはもうたまりません。

その中の1枚に、こんな写真がありました。

撮影クルーと、グーニーズの面々が楽しそうに写る舞台裏。

なんてこった、このジャケットが配られたのは、撮影クルーだけじゃなかったんだ。出演者にも配られていたなんて。
2001年、このジャケットを初めてみたときの記憶が蘇ってきて、今こそこれをつくろう!と思いました。

よく見ると、全員同じジャケットを着ているようで、微妙に形状が違う。マウスが着ているのは、ストリートシーンでもお馴染みの立ち襟型のM-65モデルですが、ステファニーやデータが着ているのにはエリがある。ポケットの形状も若干違うように見える。

さらによーく見ると、右にいるオバチャンの着ている黒いシャツ?ニット?の袖にも、”GOONIES”のパッチが付いています。
ミリタリージャケット、HEADGOONIE CAPだけじゃなく、GOONIESパッチが付いた色んな服がスタッフ・出演者に支給されたんだろうか?

 

これに気づいたとき、”あの人”の言葉を思い出しました。

数年前、ハリウッドコレクターズコンベンションのために来日した、マイキー役ショーン・アスティン氏。

僕らにとっては完全にマイキー先輩ですが、『ロードオブサリング』のサムでもあり、
最近では『ストレンジャーシングス2』のスーパーヒーロー、ボブとして最高の演技を見せてくれました。

直接お話させてもらう機会があり、HEADGOONIE CAPにサインをもらいました。家宝です。

 

 

このとき、水戸グーニーズの大地くんがご本人に質問。
「このHEADGOONIE CAPというのは一体何なんですか?」と聞きました。

するとショーン氏は、
「スピルバーグは、日本の言葉でいうと”オタク”なんだ。頼まれてもいないのに、自腹で勝手にグッズを作ってきて、スタッフや出演者に配るのが好きなんだ。”HEADGOONIE”とは、自分がこの映画の”HEAD”であることを誇示するために作ってきて、かぶっていたんだ」と答えてくれました。

 

そういえば、先日の18SS展示会でもつくったこれ。

 

レイダースのCAP。こんなの売ってないけど、撮影中に自分で(もしくはスタッフも?)かぶってたみたいで、インタビューやこういうバックステージ写真でチラっとだけ見せてくる。
間違いない、確信犯だ。こういう、スタッフしか持ってない非売品に男の子がグっと来てしまうのをスピルバーグはとうの昔にわかっていて、確信犯でやってるんだ。

 

1984年、グーニーズ撮影時のアストリアは寒かった。

ここからは推測でしかありませんが、スピルバーグがアストリアのその辺の古着屋で適当にフィールドジャケットを買い集めた。
だいたい似たような形状のものをザっと買い集めたので、M-65タイプだけではなく他のタイプも混じった。ムネに”GOONIES”のパッチを縫い付けて、スタッフ・出演者に配った、、のではないだろうか。

 

前置きが長くなりましたが、ショーン・アスティン氏から直接伺ったスピルバーグのステキなエピソードと、そこからの妄想で具現化したのが、この1985 ADVENTURE MILITARY JACKET 通称”冒険ジャケット”なんです。

 

2015年といえば、バックトゥザフューチャー30周年。”あの未来”と同じ年代ということで、BTTFは世界中で話題になりましたが、2015年はグーニーズも30周年なんです。
日本ではまったく話題にはなりませんでしたが、現地アストリアはそれなりに盛り上がったようで、こんな本が出版されました。

熱狂的グーニーズファンのゆきえちゃんが、記念すべきアニヴァーサリーイヤーに現地を訪れ、お土産に買ってきてくれた30周年記念本。
中はモノクロなんですが、見たことのない写真満載で、ファンにはたまらない内容になっています。
そしてこの本の中に、このミリタリージャケットの正体を解明するための”重要なカギ”が隠されていたのです。

 

とにかくバックステージ写真満載のこの本には、このミリタリージャケットを着たグーニーズの面々の写真がたくさん掲載されていました。

チャンクも着てる! 画質が悪くて判別しづらいですが、これはドナー監督と同じM-65っぽい。

 

マイキーももちろん着てる。けど、後ろ向きなのでディテールまでよくわからない。

 

アンディがこのジャケットを着ている写真は数枚存在するのですが、全部マフラーをしてるので、肝心なエリ周りの判別が付かない。

 

マウス。お? エリがあるかも?

 

そして、データ。

完璧に大きいエリがある! この写真が、M-65ではないという決定的証拠になりました。

 

Supremeをはじめ、90年代ストリートブランドが数多くリリースし、ストリートシーンではもはやお馴染みとなったM-65ミリタリージャケット。

個人的なあれですみませんが、僕、M-65ってあんまし好きじゃないんですよね。。
あの立ち襟型と、肩のエポーレットがちょっとあれで、ストリートのド定番中のド定番アイテムなのに、今まで一度も着たことがありません。

この冒険ジャケットを作るのに、17年間も二の足を踏んでいたのは、ベースとなっているのが僕の嫌いなM-65だと思い込んでいたからだと思います。

しかし、この写真を見る限り、ちゃんとしたエリがあり、立ち襟じゃない。
ジャングルシャツや、B.D.Uに近いような形状にも見える。
これを原型にすれば、普段使いできるミリタリーブルゾンとしての冒険ジャケットをつくれるかもしれない。

 

ミリタリーには正直そこまで詳しくないもので、
図書館にいってこのテの本を読みあさったり、エイ出版のこれ系を買い漁ったりして数ヶ月。

どうやら、M-65誕生以前、1950年代の開発された、M-51というタイプのミリタリージャケットであることが判明。

すぐにミリタリー系に強い古着屋の友人にお願いして、実物を何着が仕入れてもらい、購入しました。たぶん、、7〜8着は買ったと思いますが、その中でもわかりやすいのがこれ。

ボディやポケットのレイアウトはM-65に近いけど、袖やエリの形状がまったくの別物。

M-51は、アメリカ陸軍の冬期用フィールドジャケットで、1951年に開発され、1960年代初頭まで生産されていたらしい。

M-43にも似ているな、と思ったら、どうやらM-43を原型にその意匠を継ぐかたちで開発されたものらしく、このディテールは60年代以降はM-65に受け継がれていくらしい。

その後、90年代ストリートブランドがM-65をベースにしたウエアを多くつくっていたため、M-65はストリートシーンに残りましたが、このM-51は歴史に埋もれてしまい、今や忘れ去られた存在となってしまったようです。

でも僕はM-65より、エリのあるこっちのが断然好き。エポーレットや無駄なディテールを排除して、これを原型にすれば、きっとステキな冒険ジャケットがつくれる。

スピルバーグが僕らにシカケた罠に見事にハマり、ショーンアスティンが30年の時を経てその紐を解き、ついに、あの憧れの冒険ジャケットの具現化に至ることになりました。

 

、、、またしても長くなってしまったので、、続きます。

 

… to be continued→

 

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大八木未来

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