ボロデニム談義

僕の記憶では、確か92〜93年頃からXXをはじめヴィンテージデニムの価値が
また高騰しはじめて、
95〜96年頃には、状態のいいやつは30万とか40万とかになっていたと思う。

ヒザに穴が空いていたり、擦り切れてボロくなっているやつなら、
XXでも3万とか5万で買えたから、多分ですけどそのあたりから日本のストリートっぽいカッコに
ヴィンテージダメージデニムが広く取り入れられるようになったと思います。

家系ラーメンだったら固め濃いめ多め、
コーヒーならエスプレッソ、Tシャツなら色(版)多めみたく、
ダメージデニムもそれらと一緒で、最初はヒザに穴があるくらいで満足するんですが、だんだんそれでは物足りなくなってしまい、
ミシンでがガーッとやったリペアが欲しいなとか、穴を塞いだようなハンドステッチが欲しいなとか、なんか気づかないうちに、”ボロければボロいほどかっこいい”みたいな感じになっていき、
96〜98年あたりには、ズタボロでリペアしまくりのがシブい、みたく、少なくとも僕の周りではそんな感じになっていました。

とはいえ、当時まだ中高生だった僕にはたとえ3万〜5万くらいだったとしても、まだまだはるかに手の届かない憧れの品。僕にとってダメージデニムはMA-1、ライダースジャケットなどと並び、
”男として持ってなくてはいけない一品”の代表格でした。
いつかは僕も、と思いながら結局手にすることはなく月日は流れ、、

2005年、
自分ではじめてパターンから作った大戦モデルが、
いわゆるフリ屋さんという仲介業者を通さずに自分で工場直でやりとりして組み立てたというプロセスを味わったのがこれがはじめての体験で、
そのためこのデニムに愛着がありすぎて、とにかくはきまくりました。
それまではデニム嫌いでナイロンパンツやイージーパンツばかりはいていた僕が、あの頃はなぜか毎日このデニムばかりはいていました。のちに半生を共にするデニムになると、この時すでに何か感じていたのかもしれません。

なるべく濃紺は残したかったんですが、臭くなったり茶色くなるのが嫌でだいたい、
月に1〜2回のペースで普通に洗濯しながら、
3年くらいは(色落ちはいい感じにしつつも)特に変化なし。

今でも覚えてますが2008年頃、
槍ヶ先の交差点で自転車で思いっきりコケて左ひざに1cmくらいの小さな穴が空いてからは、
早かった。
まずこの穴を中心に左ひざが裂けてきて、それを待っていたかのようにすぐに右ひざも裂けて、
モモのあたりの生地が薄くなって白い横糸が透けてきて、ポケット口が裂けて、
3年間まったくピクリともしなかったのに、左ひざが口火を切ってから多分半年くらいで一気に全体的にボロボロになった。

そしてこれを人生初の自作ダメージデニムにしようと決意。
スケートボードメーカーくらいワイドなシルエットだったので、サイドを一度解いて
(目見当で)ザクザクっと3〜4cm詰める。

08〜09年頃、まだブルーデニムにハンドステッチリペアは逆にダサく感じていて、
とりあえずミシンでガガーッとリペアしました。
半年くらいすると今度はミシンリペアしてない部分が裂けてくるのでまたミシンリペアすると、どんどんズタボロになってきて楽しくて止まらなくなる。
”ダメージデニムはどこに行き着くのか”。終焉まで見てみたくなる。
このデニムと一生を共にするであろうことを確信。

10〜11年頃、PCからKAPITAL、刺し子、BOROなどに出会い、
藍色に不揃いなハンドワークがカッコ良く見えてきて、
このあたりからミシンは使わずにチクチク刺し子糸で手縫いでリペアをはじめている。

破れては直し、裂けては直しを繰り返すこと早14年。
現在のお姿が、こうなっております。

こう見ると我ながらなかなか感慨深い。歴史を感じる1本。

まったくのナマの状態のデニムから、14年かけてガチで育て上げたズタボロデニム。
破れたから直しを繰り返し、途中でハンドワークが加わるようになった。
まったく意図したわけではない偶然の産物なのに謎の完成度の高さ。
右足だけリペアして左足はまだの状態で数年放置中ですが、まだまだこれからもガシガシはいてもっともっとこのデニムの終焉まで育て上げるつもりです。

ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
これからも進化を続けるダメージデニムの”この一瞬”を保存できないか、と考えました。

正直最初は、このズタボロなノリだけでも出せれば御の字としようくらいに思っていたのですが、広島工場が再現したのがこちら。

上の画像と見比べてみてください。ハンドリペアは僕が適当にやってるので違いはあれど、
破れやミシンリペアはほぼ完璧再現。まさかここまでできるとは思っていませんでした。

現在の広島小島の技術ならば、ターゲットとなる見本さえあれば、想定以上の”この一瞬の保存”ができることがわかりました。
これ確か2年くらい前の展示会限定で出して数本だけ販売しましたが確か65000円とか、なかなかな価格になってしまったところが反省点。しかしここまでやるとこの価格でもギリギリ赤なレベル。

今年〜来年はまさに20世紀末、97〜99年な気分。
ここらでまたいい感じのダメージデニムをはきたいところ。

僕が14年かけて育てた偶然の産物ズタボロデニムを、広島工場でほぼ完全再現することには成功した。

これを基準に無駄なリペアを排除していき、必要不可欠なパーツを良いバランスに配置して(基準を崩さないようにしつつ)再構築したのが、今作。

”自転車で転んでできた偶然の穴”が始まりで、破れては縫い、裂けては縫いを繰り返すことによって出来た世界に1本だけのダメージデニムをミニマムに落とし込み構築した究極の1本。

オンス高め12oz広島産セルヴィッチデニムを採用し、児島で汚しと破りまでやってもらったあと、
用賀で僕が1本1本手作業でリペアします。
国産デニム採用セルヴィッチ12ozで、ここまで工場リペアがあってさらに僕の手間賃までは取れずとも、定価¥40000(税別)と、なかなか現実的な数字に着地しているのではないでしょうか。

3本並べてみましょう。

左が初代〜2代目、右が今作。

だいたい同じ場所にリペアを継承していっているのがわかります。
コインポケットの穴やひざ下に溜まった無駄の多いリペアなど不必要なパーツが排除され洗練されています。

オンスが高くかなり頑丈なデニムを使っていますが、これももちろんはいていくうちに、
(3年間は頻繁にガシガシはいたとして)リペアではない部分が裂けたり破れたりしてくるでしょう。
穴の開いたままはくも良し、自分でさらにミシンや手縫いでリペアして育てるも良し。
ダメージデニムに終わりはありません。
今回は約14年間分育てあげた上でお渡しします。ここからはぜひあなただけの1本に育てていってください。

、、、で、まだ発売じゃないのです。だいたい11月上旬からご予約開始予定なんですが、
すでに展示会で15本くらいオーダーが入っており、それらが完了後からのWEBSHOPオーダー分の作業に入りますため、すべて僕が1本1本手作業するのでおそらくすぐにご予約いただいた場合でも最短1ヶ月前後お待ちいただくと思います、あらかじめご了承ください。
40〜45本限定販売予定ですが、その数に達した時点で販売を終了します。

HEADGOONIE HANDWORK DAMAGE DENIM PANTSの
WEBSHOPでのご予約開始は11月上旬予定です、ご期待ください。

HEADGOONIE
大八木未来

https://headgoonie.com/