2018AWの双璧ボンバージャケット”BOREDOM2″と”四代目”の邂逅

INDIGO LEATHER JACKET “BOREDOM2”
https://www.headgoonie.com/items/5bdb7ae8ef843f2e51000285

1985 TIMETRAVELERS BOMBER JACKET PART4
https://www.headgoonie.com/items/5bc82c8da6e6ee65fd000404

本来、こんなオオモノ中のオオモノ、予算規模感的にHEADGOONIEのような小規模ブランドでは同シーズンで相見えてはいけないほどのものなのですが、
なぜかどうして、この2018AWで双璧を成すことになったのか。

とりあえず脳内には記憶のカケラすら残っておりませぬため、
iphotoの所々に遺された覚え書きならぬ”覚え撮り”や、
発注書や工場さんとのやりとりメール、LINE履歴から自分の軌跡を辿ってみると、
BOREDOM2制作の一番”シッポの先”まで、なんとわずか1年半。
自分ではもっと長いことやっていたような、わずか1年半の制作期間が遠い遠い昔の夢の世界のような感じさえする、とっても内容の濃〜い制作期間でした。

このあたりはマンガで描こう!と心に誓った2018年初春。
専用につくったインスタアカウントも夏前で放置したまま今年も終わろうとしていますが、
またいつか近いうち必ず再開すると自分に言い聞かせるためにも、
このブログではある程度駆け足でざざっと覚書程度に書いておこうと思っている次第であります。

何はともあれ、今から遡ること約1年半ほど前。
この藍染カウレザーを入手できたことはすべての始まりだったと思います。

僕は基本的に普段は、まずナニをつくるか? を最初に決めてから、
生地やパーツを当てはめていきます。
たとえば、
酔拳に出てくるようなカンフーシャツが欲しい → 男女兼用で着れそうな淡い水玉を探そう。
海賊が着てるような袖がダボっとしたギャザーシャツが欲しい → 夏にはおれるようなリネン素材を探そう。
など、ナニをつくるか?ありきで、色や素材、パーツはそのあとにハメていきます。
もっというと、この逆は出来る限りやらないよう、心掛けているくらいです。

しかし時たま、数年に一度くらい、この逆をせざるを得ないほど、
とんでもない素材に出会うことがあります。
今から約1年半ほど前、用賀ショールームにやってきたこの藍染カウレザーも、そのトンデモナイ素材の一つ、まさにその代表格です。

HEADGOONIEのような小規模ブランドでは、他の有名ブランドのように、毎シーズンたくさんのアウターを出したり、頭の先から足の先まで着回せるほどのアイテム数をつくることができません。

ゆえに自然と少数精鋭的、数は少ないけど一生着れる良いモノを、という考えになります。
僕にとってスタジャンは特別な思い入れがあって、5年に1度しかリリースしないと決めています。
(次回は2020A/Wをご期待ください)
この5年に2度のスタジャン周期を基準に、”男として1着は持っておかなければならないワードローブシリーズ”を、この数年毎年1〜2着ずつですがリリースしています。
マウンテンジャケットやモッズコート、ダウンジャケットなどなどの流れの中に2012年、一度レザージャケットをリリースしています。
それがこちら。

HEADGOONIE LEATHER JACKET “BOREDOM” (1st.MODEL)
2012 MODEL 今では入手不可

シングルをベースにダブルの要素も加えながらHEADGOONIE流にPOPにアレンジした、
結果的にちょい細身のシングルジャンとなりました。
若くてやわらかいブラッククロムレザーにWALDES ZIP仕様のスタンダードながら細部にこだわり抜いた贅沢な1着に仕上がったと思います。

そりゃいつか、いつかは藍染の革ジャンを、というのは頭の片隅の片隅のそのまた片隅にはありましたが、それは数年後か数十年後か、はたまた生きてるうちにお目にかかれるものなのか、てなくらいで、まさかこんなに早く出会うことになるとは夢にも思っていませんでした。

鹿や羊ならともかく、牛はキレイに深く美しい藍色に染めるのがムズかしいと、ずっといろんなところでいろんな人に言われてきました。

革が(鹿や羊に比べて)圧倒的に厚くて固いので、出来る限り年齢が若く柔軟性に富んだ革を使う必要があるが、かなり高価になる。とか、
革によっては結構強いムラが出る可能性が高い、あらかじめご了承いただきたい、とか、
ムラを出さずに染める方法が愛知県の方にあるらしい、とか。

とても良い色の藍染カウレザーを実現しているところが日本にも何箇所かある。
そこに依頼してしまうのが手っ取り早いのでは? でもそういうとこってもうブランドになってるから、結構な値段を取られそう、、とか。

一時は先駆者の門を叩こうかとも思いましたが、そこはオリジナルカラー、オリジナルの藍色にこだわり、まあいつか良い釜と出会えるだろうとかなり永い目で見ていたのですが、
まさかこんなに早く、僕の理想の藍色を出してくれる釜に出会えるとは思いもしませんでした。

先ほど制作開始は”1年半前”と言いましたが、それはあくまで”革が完成した日から数えて”であって、
上記したような難関を難関を乗り越える前日から数えたらさらに1年以上を確実にかかっているし、”構想”なんて言い出したらキリがありませんからやめておきます。
(”難関”あたりは後日マンガで描くと心に誓いつつ割愛します)

とにかく、数年に一度だけ起きる逆現象、
とてつもない生地が出来上がってしまい、それを使ってナニをつくるか? を組み立てていく作業。
とはいえまだ革ができただけですから選択肢はたくさんあります。ブレスレットや小物だっていいし、革パンやカバン、帽子だってできますが、
こんなとてつもない革が手に入ってしまったんだ、ここはやはり一本勝負、革ジャン! 6年前のBOREDOMを凌ぐセカンドモデルをつくりたい。

こうして、6年前のシングルジャンを踏まえた上でのBOREDOMセカンドモデルの制作が開始されました。

ファーストがシングルなわけですから、セカンドはダブルになるのが普通でしょう。
しかし… ダブル、今着るかなと考えると、
ただでさえラクチンなカッコに(自他共に)慣れてしまっているオジサンが突然ダブル革ジャンなんて着て現れた日にゃ、バリバリの”借り物感”を全開に醸し出せる自身があります。想像だけで。

シングル、ダブルが消えるとなると、残される道は一つ、ボンバー型。

ボンバーにいくのであれば、ブルゾン的要素を加え、革なのにラクチンにざっくりと袖を通せて、
普段のカンフーパンツとかユルユルなHEADGOONIEウエアに難なく溶け込むような、
そんな革ジャンがつくれたら、、と思いましたが、
人類の歴史は長いですが歴史上今のところ、僕の想像に近いものは存在していません。
ベースのないものをゼロから組み立てていくほど怖いことはないですが、
僕が最初に想像したのが、これです。


海賊帽、コーデュロイパンツ、フィッシャーマンやノルディックニットみたいな完全なユルユル普段着に、そのままざっくりはおれるようなブルゾン型お気軽革ジャン。

丸っこいディテールと、不要部分をそぎ落としてシンプルでPOPな感じで、
意外とすんなりここまで描けたし、これはどちらかというと70%以上革勝負品。
デザインは引いて引いて洗練させたこの程度で良し。と判断し、制作進行。

普通の衣類だったら、これでファーストサンプルを制作するんですが、
いや待て、今回の素材は革、1deci(10cm x 10cm)数百円〜数千円という恐ろしい世界。
いきなりこれでサンプルをやって、想像と違うものが出来上がってしまった場合、
損害額が凄まじい。

こういうときはどうするかというと、”トワル(布)サンプル”をつくります。
一度、本番用ではない安価な布で組み上げてみることにより、ある程度完成予想図を掴むことが出来つつ、失敗した場合大損害も避けれる。

まあ別にイッパツ勝負しちゃっても大丈夫なんだけど、みんなやれっていうし、
一応トワルやるか的な、この時点ではえらそーにもそんなテンションでしたが、
この時点である程度確定しておかなければならないのは、裏地。

前述したファーストモデルには、ガクランの裏地である(光の加減で極彩飾に映る)玉虫レーヨンを採用したのもあり、
今回はその真逆であるボアに挑戦してみたかった。

この裏地ボア捜索は、めちゃくちゃ手間と時間をかけた。
ていうか、想像に近いボアがまったくない。

僕の想像は、1930~40sくらいの古い時代のフライトボアジャンで、
100年近く経った今、どこかの古着屋の片隅にあったとして、
昔はもっとフワリとしてて色もくすんでなかったんだろうな…
的な想像をさせるようなボア。

というもはや今となっては自分でも意味不明な想定をしているのだから、
見つかりっこない。

しかし、こんな激狭ストライクゾーンをドキューンと突き抜いてくれたのが、
いわゆるトイプードルとか小型犬の手触りを模したフェイクファー。
現時点ではとってもフワフワで肌触り最高。毛足も短くてちょうどいい。
1世紀くらい経ったらいい感じにペッタンコになって雰囲気を増しそう。

裏地のボアに関しては時間をかけた甲斐もあり、ほぼ想像に近いものを発見することができた。
これならおそらく、イッパツでうまくいくんじゃないかとタカをくくっていましたが、そう甘いもんではありませんでした。

出来上がってきたファーストトワルサンプルが、こちら。

…うーん。な出来。あれ、こんなハズじゃ…。

理想のボアも、裏地には良いけどエリボアにはちょっと弱い。
袖口からちょっと見えるのもかわいいけど耐久性の問題で却下。
ていうか引き算しすぎて色気がまったくない。

唯一よかったのはZIP。

これも最終判断に至るまでにかなりの本数ムダにしていますが、
最終的にユニバーサルのオールド版に着地しました。

長年、永年着続け、受け継がれていくものですから、
旧車であることは前提にも、バックがYKKであるという耐久性、安心を踏まえました。
っていうか見た目これが一番かっこいい。

しかし、このファーストだってムダではありません。
この世に存在していなかった僕の想像物を具現化することができたのですから、
雲を掴むような作業だったところから、かなり前進出来たと言えます。

これは”革ジャン”である、革ジャンをつくっている、という固定概念がアタマから離れず、寸法的にも随分間違えてしまった。
裏地ボア入りでガバっと着たいはずなのに、革ジャンという固定概念が邪魔して、結構タイトでオシャレなシルエットのボアジャンが出来上がってしまった。

すぐにパタンナーの小泉くんに来てもらい、もったいないけどこれはバラシ。またイチから組み直す。
セコイ話してあれですけど、パターンからサンプルまで、ここまで組み上がってボツると、お金的にも精神的にも、それはそれはダメージがデカイのです。

去年の今頃、所用があり東北地方に何度も通っていたのですが、
このとき僕が体験したのは、早朝でマイナス8度。

僕、マイナス5度以下は初体験でした…。カンフーダウンなんて所詮タウンユースダウンだということを思い知りました。
そしてこれに行く前日PHINGERINのマフラーを買っといて本当によかった。首回りガードがあるかないかで天国と地獄でした。

しかしカンフーダウンを着ていてよかった点は、袖周りの動きやすさ。
着込みが多くて動きづらくなるこの季節、アームホールや袖幅が広いのはほんとにうれしいというか安心する。

この体験から、エリボアは極寒地にも耐えうるちゃんとしたものをつけたい。という点や、
アームホールや袖幅、身幅にも余裕を持たせ、体の動きを自由にする点、
ファーストからのさまざまな反省点も踏まえ、
最終的に出した結論が、こちら。

ほぼ、最終系に近いラストラフ画。
一見シンプルに見えますが、逆にこれだけの要素を(自画自賛ですが)よくぞここまでまとめあげたと、自分で自分を褒めてやりたいです。

時を同じくして製作に取り掛かった”四代目ボンバージャケット”。

まずは念のため最新情報収集からと、HEADGOONIEの特殊機密情報収集機関(Facebook)
を使い、マイBTTFコネクションをあたり(2017年当時)最新BTTF情報を収集。

特にこれといって大きな進展はなかったんですが、
中でも興味深かったのを。

これはスコットランド在住の友人が最近入手したという、正解に近いベスト。
色も形状もほぼ正解に近い。
これは背中にBMX選手がプリントされています。僕の知っているもので、テニス選手とか、あと確かなんか違うスポーツ選手も見たことあるような。フットボーラーもこのシリーズの一環ではないかと推測します。

これは、、確かSNSで発見したか、もしくは誰かメールしてきたか忘れたけど、これも正解に限りなく近い。(袖口のペイズリーはおそらく後付けしたものではないでしょうか)

裾ゴム部分のステッチは3本、2本、1本、ナシの4パターンあるっぽい。
やっぱりハコポケ下部には三角形タグがあって、映画ではこれは取り外された。
(時計台の前のシーンで薄っすら濃紺逆三角形を確認できる)
フムフム、などと細部ディテールの確認、解析をしている最中、
広島・河崎工場長から、デニムの色見本が完成したとの一報あり。

Mさんからお借りしたボンバージャケットのオックスデニム色にはほぼピタリ同じ色にできたと。
しかし、やっぱり黒い。映画のが青い。いや青い?かどうかはわからないけど、
もうちょい違う。

長くなってきたのでこの辺で一旦切ります。
続きます。

TO BE CONTINUED→

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大八木未来

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