日別アーカイブ: 2018年12月11日

2018AWの双璧ボンバージャケット”BOREDOM2″と”四代目”の邂逅【其の二】

コミコン等で一旦お話がずれましたが、続けます。
其の一はこちら。
http://headgooniebookstore.jp/blog/boredom_part4/

2018年12月11日 PM10:39
このブログを書き終えた僕が、今一度このブログの冒頭に戻り記録します。
言いたいことを全部詰め込んだ結果、HEADGOONIE史上最長に長くなってしまいましたw
なのでこれ以上先は所有者様、もしくは興味のある方だけお進みください。

お話は今から約1年半ほど前に遡ります。

HEADGOONIEの場合、まずオオザッパな”タタキ台”をつくります。
というか広島の河崎工場長がこのやり方をします。昔は正直そんな無駄なことせずいきなりズバリを目指せばいいのにと思ってましたが、
たとえば、切り返しのカーブがもうちょいキツイとか、裾のゴム幅はもっと狭くてステッチが1本じゃないとダメとか、そんなのってはっきり言って工場の方々にはどーでもいいことであって、
ただのジージャンならともかく、こんなUMAみたいな空想科学ジャケットは、一度ばっくりカタチにしてみて、縫製担当や加工担当さんにも事前にある程度完成型を見せておくとが、いろんな意味で円滑にその後の作業が進むということをのちに気付かされます。

なので、ここ数年は僕もまずばっくりと絵を描いて、タタキ台が上がってからそれをみながら直すというやり方をとっています。
その初稿からばっくりと組み上げた”タタキ台”がこちら。

一見で切り返し部分のステッチが1本だったり、箱ポケの大きさが変だったり、ボタン位置も違ったり、指摘したい部分は多々ありますが、
前述した通り、まずこの荒っぽいタタキ台をつくり、それを見ながらここをあと〜〜cm、ここをあと〜〜cm、と修正していくスタイルで製作します。遠回りしているようで、これが僕らの最短距離。なのでこれはまだサンプルとは呼べないそれ以前のもの。
っていうかそもそもの、オックスデニムがまだ”黒すぎる”問題が解決していないまま事態は進行しています。

時を同じくして、このボンバージャケットと双璧を成す18AWのもう一つの壁”BOREDOM2”も、
こちらは(予算の都合もあり)もう少し具体的なタタキ台(2回目)に入りました。

2018AWの双璧ボンバージャケット”BOREDOM2″と”四代目”の邂逅【其の一】

に詳しく書きましたが、
結局ボンバー型にたどり着きましたが、引き算し過ぎてさっぱり色気のないのものになってしまい、結局一旦バラシ、イチから組み直し。

僕が基準となるベースに構想したのは、MA-1誕生以前の1940sフライトジャケット。
実物はシープスキンなどが多いようですが、色気や雰囲気がありつつも、洗練された最低限のパーツのみで構成されたお気軽普段使いブルゾン牛革ジャンを目指し、
もう一度ゼロからトワルを組み直しました。


今季パンツでも使っているモレスキンで組んでみた最終セカンドトワルサンプル。
こちらは(四代目ボンバーと比べて)もう少し慎重に一歩一歩進んでいるため、
セカンドトワルでほぼ正解を掴めた。

一生、いや次世代にも次々世代にも受け継いでいけるクオリティーのジャケットですから、
一見シンプルとはいえば、着る人を飽きさせないディテールが必要。

ムネポケと腰ベルト部分をブラッククロムレザーに切り替えたり、
ZIPの綿テープを(汚れてきたらいい感じの味のあるグレーになるように)薄いグレーにしたり、
鬼瓦権蔵みたいなあえてゴリゴリの野暮ったいボアには逆にマイクロリッチという最高級素材を採用でバランスを取っていたり(取り外し可能)。
”旧車的”輝きやゴリゴリ感がありつつも、生産背景がYKKであるという安心感(万が一修理や交換などの場合も考え)のあるユニバーサルZIPを採用。
薄いグレーの綿テープは、半世紀くらいして汚れてきたらきっと激シブになるでしょう。

裏地に控えめに鎮座するプードルファー、この最高の肌ざわりはついついTシャツの上からざっくりはおりたくなってしまうほど病みつきな触感。
これも1世紀くらいしたら汚れてペタペタな感じになってシブイだろうな〜と考えただけでワクワクします。

(鏡が汚い、すみません)
多少シングルジャン、ダブルジャンの系譜は踏襲しつつもボンバー型を基準に、
結果シンプルで洗練されたブルゾン型に着地できたと思います。

このジャケットがとても快適なものであり、
普段使いでついまた袖を通してしまいたくなるような着心地である!
ということが、このトワルサンプルに袖を通した瞬間電流のごとく一瞬で脳裏をよぎりました。

製作当初から大幅に改定したのが、(革ジャンとしては)ありえないほど広いアームホール、袖幅、袖口幅。裏地に採用した非常に肌触りの良いトイプードルファーの触感も相俟って、
袖を通した瞬間にこの革ジャンが普通のそれではないことが素人でも一瞬で感じ取れるほどのものになっていると自負しております。

最後にもう一度パタンナーの小泉くんに寸法を微調整してもらい、ついにパターンが完成。
記録では、この段階でおよそ2017年の暮れ〜2018年頭くらい。
いよいよレザーで本番の組み上げに入ります。

ボンバージャケット、リジットの状態ではこんな感じなんです。


オックスは真っ黒だし、切り返し上のデニムも濃紺のまま。ここからさまざまな加工で”あの色”を目指していきます。
縫製の都合上、この段階で”逆三角形”をつけなくてはならないため、この”逆三角形”がかなり濃いめに残ってしまうことは許してください。



ストーン&バイオetc…さまざまなウォッシュ加工のあと、
1枚1枚特殊な薬品をつけた布でハンドブラストして色を調整していきます。

結局、今年5月の展示会にファーストサンプルは間に合うには間に合いましたが、
根本的な問題、”オックス黒すぎる問題”が解決しないまま、
展示会の日を迎えることになりました。
そのファーストサンプルがこちら。

ディテールでいうと、切り返し部分のカーブがちょっとユルすぎるのとか、あとその程度くらいまでは来ていますが、
そもそもこの色ではダメだ。黒すぎる。

ドロップ(販売中止)する判断をするのであれば、この時点がデッドライン。
これを持って展示会に出てしまえば、各地でオーダーをいただいてしまう。それからの販売中止は絶対にできない。
めちゃくちゃ見切り発車だけど、これで発車するのか、それとも一旦断念して時期が来るのを待つのか。
(このときはもちろん、2018年末にドクビフママが来るなんて、想像もしていません)

河崎工場長からは、
「とりあえずこれで展示会を回って来てくれ。その間にスプレーで染色する方法をやってみる。
最近は児島等でも頻用されている技法で、おそらくこれでいけると思う」

と言われていたのでそれを信じるしか、っていうかもうそこに賭けるしかない。
失敗したら? 失敗は許されない。

お互い追いつき追い越ししながら、偶然にもまた時を同じくして”BOREDOM2″の本番レザーサンプルも完成。


凄まじい迫力。
想定の50%以上いけば優秀で、80%いけばヒットの予感と言われるこの世界、
ほんと、時たま、数年、いや数十年に一度100%を超える、想定以上のモノが出来上がってくることがあり、それに出会えることこそが喜びであり、目指すべきところなのですが
いろんな幸運が重ならないと起こり得ないこの奇跡的現象は意図して創れるものではないため、2018年今また目の当たりにすることができ僕自身感謝感激雨あられなのです。ちょっと大げさですけど。

そして2018年5月、BOREDOM2は完成しましたが、ボンバージャケットは完全に見切り発車のまま、HEADGOONIE2018AW展示会がスタートしました。


今季は他にも、ボアフリースアノラックや陶器ボタンコーデュロイジャケット、撥水藍染ナイロン、炭カンフーなどなど強豪揃いでしたが、やはり注目はBOREDOM2とボンバージャケットでした。

これは大阪の絵描きの友人が展示会に着て来てくれた、セカンドモデルかな?
こう並べるとまったくの別モノですね。
っていうか今回のがまだ黒すぎる。

「まだ未完成ですから!」
とアナウンスはしていたものの、それでもたくさんの方々が見にきてくれて、
「これ、色は今やってて、もうちょい青くなります!(断言)」
という僕の何の根拠もない言葉を信じてくれて、たくさんの方々が予約を入れてくれました。



時は西暦2018年5月。
僕が各地を満喫しているあいだも、広島工場からの”テスト”連絡は鳴り止まず、
実は結構緊迫した事態が続いていたんです。

札幌→大阪からの久々の東京用賀。
広島工場から届いている染めテストサンプルの箱を開けてみる。

お?

あれ? なんか、結構いい?

オーバーダイ(汚し加工)もサンプルより濃いめにかかり、バッチリ。

すごい!
”あの色”が出せた!

”あの色”
とは、ブルーなのかグレーなのかいまいちよくわからないあのボンバージャケットの”あの色”。
幼少の頃観たその人の不確かな記憶も相俟る場合があり「”あの色”は人それぞれ違う」ということをいう人もいる。

その不確かな”あの色”が、僕は具現化できたと思っています。

いよいよ本番。このスプレー?という技法を使い、最終サンプルをつくります。

先述したハンドブラストでかなり色落ちさせたカスカスな状態。この状態で一旦乾燥させます。

これが河崎工場長が言っていた”スプレー”。いわゆるエアブラシ的なやつですね。

エアブラシのタンクの中に入っている染料は、専用の機械でオリジナル調合した染料が入っています。

秘密のレシピ。

伝票がこーんなに長くなるほどいろんな染料を調合して”あの青”をつくっています。

いよいよ吹きかけ。


片側のみの状態だとわかりやすい。
地色のグレーとオリジナル調合のブルーが相俟って、”あの色”が21世紀に再現されました。

しかしこの方法だと、「見返し」(前開きを開いた両側にある裏側のデニム部分)を
染めることは無理だろうな、、と思っていました。
まあここまで再現できたんだから、そこまでは贅沢な注文だと思い、僕は特に指示をしなかったのですが、なんと工場側のアドリブで、、


まさかの素手ガード!!
これなかなか落ちないのに…。職人さんの心意気に感謝です。



見返し裏、袖裏、エリ裏もバッチリ。ありがとうございます。
(そういうわけなんで、もしも裏地にチョンっと1滴2滴くらいあっても、その程度だったら許してもらえたら助かります)

そんなこんなで、一言では片付けられないこのさまざまな物語、僕は漫画に描いたら面白いのが描けそうだなーと空想だけで忙しさにかまけて筆は動かずだった2018年の教訓を来年に活かしたいと思っている所存であります。

まさに「具現化することに成功した」という冠をつけるべき18AWを代表する双璧ボンバージャケットを完成させることができました。

そして今年の10月、
出荷直前の写真がいくつかあったので、せっかくなんで載せておきます。




一緒に追ってきました通り、こういうモノをつくるのにかかる手間ってほとんどが工場側。
デザイナーなんて、最初の設計図担当みたいなもんだ。
工場で尽力してくれた職人さんたちに敬意を払う意味で、代表して河崎工場長のサインとナンバリングが1着1着に入ります。
これぞハンドメイド。世界水準メイドインジャパンの逸品である証です。

同じく、BOREDOM2も量産用のレザーが染め上がったとの報告が。
(ちなみに工場の位置関係的には、四代目ボンバーは広島、革ジャンは愛知です)

手前の切れっ端が量産量に染めたもの。サンプルよりも微妙に若干青いですね。
藍染ですから、染めるたびに色が若干違う。こういうのも一期一会といいますか、
1着1着すべて違う表情を魅せてくれる、藍染の醍醐味の一つです。

これはHEADGOONIEのオリジナル藍染レザーとして、うちの生地資料ファイル資料館へと保管されます。またいつか来るかもしれないし来ないかもしれない出番を待ちながら。(インディージョーンズで「契約の聖櫃」が最後倉庫に保管されるイメージをしています)

とりあえず僕はそのままサンプルXLを購入。

サンダルで季節感ないですけど、ほんとこんな感じで、近所行くときに気軽に使えるイメージです。


裏地のプードルファーがほんと肌ざわり良くて気持ちいい。
広いアームホール・袖幅・袖口幅には”気軽さ”があり、高級な革ジャンとはいえ、またすぐに袖を通したくなり、普段気軽に着てしまう。
そんな完璧な”気持ちいい袖通し感”に仕上がっていると断言します。

いつも僕が言及する”重さ”ですが、こちらももちろん、ある程度の軽量化は図っていますので、手で持ったとき、はおったとき”革ジャンにしては軽い”くらいの軽量化は体感してもらえると思います。
しかしまあ、革ジャンみたいなご褒美レベルの高級アウター買って、あんまり軽々ってーのもあれじゃないですか。だからある程度の”高級感”、高いモノを着ているんだそ感を感じれるくらいの重量は持たせています。分かりづらくてすみません。

特に加工なく、ナマのままお届けしています。
なのに最初からこのしなやかさ。年齢の若い牛を使うことにより出せるワザなのですが金額的にアレなんですが、ここはまあ、5年10年に一度のことですから、奮発しています。
しかも、天然レザー特有の最初からあるキズやフシなどはすべて排除(これを排除するとかなり無駄が出るため味として残す場合が多い)するという、もはや奮発という名の自己負担です。

藍染とはいえ、ちゃんとガッチリ染めていますので、手でこすっただけで色移りしたり、綿製品のように1年2年で色褪せてくるようなことはありません。堅牢度は相当高いです。
しかし、天然染料後染製品ですからもちろん長い年月をかけて経年変化していきます。
藍が薄くなってきて縫製部分にアタリが出て、ファスナーのグレーが汚れてチャコールくらいになって、ZIPが削れて荒々しくなって、ボアが潰れてきて、、って、半世紀1世紀くらい経ってそんな風になってきたらめちゃくちゃシブイと思います。
(1世紀とか言っている時点でもう僕は自分は着終わって、次世代の誰かが着ているのを想像しています)

一瞬、工場で僕のやつを加工して、そういう想定のものを1着つくっちゃおうかな、とも思ったんですが、直前でハっと我に還り辞めました。そういうのって、今はまだ見ないでおいた方が楽しいですよね。
10年後20年後、この革ジャンがどうなったか、そのときまだ縁があればぜひ何かの機会に着てきて見せてください。

僕はこれ、別になーんも気にせずただの普段着として、バッジも付けるし、飽きてきたらワッペンとかスタッズでカスタムしようとかも考えているし、
なんなら洗濯機で洗ってやろうかくらい考えていますが(これはさすがにダメでしょうか)。
でもそのくらいのノリで人生の相棒としてガシガシ愛用してガシガシ育てて受け継いで、
22世紀くらいでも何着か存在しててくれたらそりゃもう所有者同士で飲みに行けるレベルですね。

ということで、史上最長に長くなりましたが、18AWの双璧を成すBOREDOM2と
四代目ボンバージャケット、サイズ欠けが出ているものの、まだWEBSHOP&取扱店にて販売しております。

流行り廃りとかそういう陳腐なものは遥かに超越していることは周知の事実だと思いますが、
なかなかこれから先平成以降の未来ではこの熱量を搭載したジャケットは入手しづらくなり、遠い未来、100年後にはものすごいお宝に… なんていうのを夢見ながら、とても良いモノが出来上がったと思っています。

そうそう、まさかこのタイミングでドクビフママが来るなんて、僕もまーったく予想もしていませんでした。
この3人が来るのですから、マーティーになっていくのが正解でしょう。
ストックのあるうちに、ぜひ入手して欲しい2巨塔の紹介でした。長々ありがとうございました。

HEADGOONIE
大八木未来


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